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治験翻訳A to Z
  キーワードで考える治験翻訳の世界
東京医科歯科大学非常勤講師
アルパ・リエゾン株式会社代表
有馬貫志
第6回   Food and Drug Administration(FDA)
 
  A branch of the U.S. Department of Health and Human Services primarily responsible for regulating the approval and use of drugs, medical devices, cosmetics, and foods. Terminology for Clinical Trial 

http://www.lillytrials.com/docs/terminology.html

 
食品医薬品局   米国保健省の一機関で、主に医薬品、医療機器、化粧品、食品の許認可に関する規制業務を担当する。

FDAと治験翻訳者
治験翻訳A to Z、第6回目の今回はFで始まるキーワードとしてFDA、食品医薬品局を取り上げます。ただしFDAの正式名称はU.S. Food and Drug Administrationですから、その訳語は米国食品医薬品局です。ここでは実際により多く使われる名前であるFDAを採択し、訳語は国立医薬品食品衛生研究所に従っています。検索サイトには米国保健省であるU.S. Department of Health and Human Servicesをはじめ、海外の公的な機関名の訳語として様々なものがヒットします。よく、どこを調べたらいいのかという質問を受けますので、日本の公的機関が提供している情報として国立医薬品食品衛生研究所のガイドラインを紹介しておきます。

海外機関の名称:http://www.nihs.go.jp/webguide/organ/gaikoku.html

FDAの役割は医薬品や医療機器または化粧品や食品に関する許認可を始め多岐にわたりますが、今回は治験翻訳者に関連する情報のみを取り上げたいと思います。FDAの業務のうち治験翻訳者に関係するのは主に医薬品と医療機器の規制に関する業務ですが、ここでは更に「新しい医薬品の許認可」に限ってお話をしたいと思います。
 

CDERとLabel記載情報

様々な重要情報が満載されているFDAのサイトから、先ずは最も重要な情報に辿りつきましょう。その情報とはFDAが過去に承認した医薬品の承認情報です。
FDAのWEBサイト(http://www.fda.gov/default.htm)の最初のページを開き、規制項目の中からDrugsを選択すると、新しいページ(http://www.fda.gov/cder/index.html)が開かれます。ここはCenter for Drug Evaluation and Research(CDER)と呼ばれるFDAの下部機関のページで、医薬品の許認可はこのCDERで行われています。
ページ上部に並んでいるタグからDrug Informationを選択し、更にNew Prescription ApprovalsからDrugs@FDA(http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/index.cfm)に進みます。あらかじめ調べたい医薬品の名前が分かっていれば、ここでその医薬品の名前を入れますが、今回はBrowse by Drug Nameの「A」を選択してみましょう。あくまで1例としてですが、次にAlimtaを選びましょう。Alimtaに関する情報が表示されましたね。ここに記載されている情報は全て有用な情報ですが、その中からLabel Informationを選択してください。Approval Historyの項目の下に、Label、Patient Package Insert、Reviewが並んでいますから、全てを開け、必要なものはダウンロードします。Labelとはあまり見慣れない用語かも知れませんが、description of the drug, clinical pharmacology, indications, adverse events, safety information for the patientなどの内容が記載された大変重要なドキュメントです。またPatient Package Insertには患者向けの情報、ReviewにはFDAのレヴュアーによる詳細な審査情報が記載されています。

PMDAと承認情報

さて、翻訳である限り、バイリンガルな情報が得られればそれに越したことはありません。FDAが承認した医薬品の情報はCDERのサイトで確認できることが分かりましたが、では日本の厚生労働省が認可した医薬品の情報はどこにあるのでしょう?日本では医薬品の許認可に関する規制業務は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)という機関が管轄しています。CDERと同様、ここでも重要な治験ドキュメントに関する情報が得られますので、探索してみることにしましょう。先ず、PMDAのサイトのトップページ(http://www.pmda.go.jp/)から医薬品医療機器情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)に移ります。左側に並んだ項目の中から「承認情報」を選択し「新薬の承認審査に関する情報」をクリックしてください。一例として「部会審議品目」の最上部の平成18年1月を選択してみましょう。最初の項目には大塚製薬の「アリピプラゾール」がありますね。平成18年1月に承認された本剤について、ここで二つのドキュメントを入手しましょう。一つはPMDAが作成した「審議結果報告書(審査結果報告書)」、あと一つは製薬会社が作成した「申請資料概要」です。どちらも重要な資料ですが、翻訳者の立場からは、製薬会社つまりクライアントが作成した資料が、より仕事に直結しているかもしれません。ちなみに、アリピプラゾールの場合は、品質、非臨床、臨床の各試験結果に関する詳細なデータが掲載されています(http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/g060101/index.html)。

添付文書情報

更に、もう一つ重要な資料を確認しておきましょう。それは「添付文書」と呼ばれるものでCDERのLabelと同様、医薬品の基本的な情報を記載した重要なドキュメントです。先ず、医薬品医療機器情報提供ホームページのトップページを開いてください。左側の項目から、今度は一番上の「添付文書情報」をクリックします。次に「医療用医薬品の添付文書情報」の検索ページを選択すると検索ページが開きます。左上の「一般名・販売名」の項目に「アリピプラゾール」と入れてみましょう(一般名)。検索結果に大塚製薬の「エビリファイ錠」(販売名)に関する添付文書情報が得られるはずです(http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179045B1021_1_02/)。このままでは読みにくいので、ダウンロードの選択肢からPDFを選んでダウンロードします。 以上、今回はFDA-CDERとPMDAのサイトからLabel、Patient Package Insert、Review、審議結果報告書、申請資料概要、添付文書情報の入手方法をお知らせしました。全て、治験ドキュメントの基本となる文書ばかりです。自分に必要な、あるいは興味ある医薬品を選んで、バイリンガルの資料集を集め、できたら自分で対訳表または辞書をお作りになると、治験翻訳の勉強としては理想的ですね。



『通訳翻訳ジャーナル』2007年2月号より転載