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治験翻訳演習担当講師
東京医科歯科大学非常勤講師
アルパ・リエゾン株式会社代表
有馬貫志
《第7回》 日本語の問題
先週の土曜日で基礎クラス、実践クラスとも2回を終えました。最初は見ず知らずだったクラスメート同士も、だんだんと打ち解けてきて、授業はとても和やかな雰囲気で進んでいます。前回の治験翻訳EXPRESSでもお話しましたが、翻訳者にとって最も大切なのは、分かりやすい自然な日本語を書く技量です。
よく、「あの人には文才がある」などという言い方をしますが、治験翻訳をするのに特別な「文才」は必要ありません。治験翻訳に必要なのは、糸井重里のように人の目を引くキャッチフレーズを作ることでもなく、村上春樹のように多彩な比喩を繰り出すことでもないからです。自然で分かりやすい文章は、論理と文法にのっとった文章です。それを翻訳する過程で、どのように生み出すのか?その僕なりの答えを、今度出版される『イカロスMOOK 医学の翻訳』に書いてみましたので、興味のある方はご覧下さい。
少し視点を変えて考えてみましょう。我々はある文章を読んだとき、ごく自然に「分かりやすい、分かりにくい」という判断をしています。しかし、なぜ分かりやすいのか、なぜ分かりにくいのか、その理由を考えてみることは稀ですね。一般の日本語話者であれば、それでかまわないのですが、翻訳者のみなさんにはさらに一歩進んで欲しいと思います。いくつか、明らかに不自然な日本語をあげてみますから、なぜおかしいのか、その理由を考えてみてください。ヒントは「は」と「が」の使い方にあります。どうして「は」と「が」を入れ替えることができないのでしょう?
1 あなたがだれ?ここがどこ?
2 あ〜、何か甘いものは食べた〜い!
3 日本代表はみんなは応援すれば必ず優勝すると思うよ。
4 むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんはすんでいました。 おじさんがやまにしばかりに、おばあさんがかわにせんたくにいきました。
つーほんメール【第90号】2006年5月22日発行より転載
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