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治験翻訳演習担当講師
東京医科歯科大学非常勤講師
アルパ・リエゾン株式会社代表

有馬貫志





《第4回》 メディカルライティングという考え方
東京では桜の開花宣言もあり、いよいよ本格的な春ですね。先日東京大学の本郷キャンパスを歩いていたのですが、こぶしの白い花がきれいでした。東大では現在「日本メディカルライター協会」 http://www.crsu.org/jmca/ が主催するメディカルライティング講座が開催されています。なかなか興味深い内容なので、今回はその様子をお伝えしましょう。

医学論文という言葉を聞いて、最初に連想する形容詞は何でしょうか?
難しい、とか、難解だとか、きっとそういう言葉が多いのではないでしょうか?その理由には、やはり内容の専門性の高さ、用語の難解さなどが挙げられるでしょう。でも、毎日のように医学論文を読んでいると、それ以外にも原因があるのが分かってきます。文章そのものが分かりやすく書かれていないことが多いのです。だったら、もっと分かりやすく書けばいいのに!と思いませんか?そういう声を形にしたのが、メディカルライティングという考え方なのです。

メディカルライティングという言葉、大まかな定義としては、「医学に関する何らかの文書を作成すること」となるようです。講義を担当なさった林健一先生は、その内容を「読者が必要とする情報」を、「正確に、簡潔に、わかりやすい形」で「伝達すること」であると説明していました。その対象とする読者を、「医学文書による情報を必要とする人」、と限定すればメディカルライティングの内容が浮かび上がってくるでしょう。

私は言語には基本的に2種類の目的があると思っています。ひとつはExpressionであり、もうひとつはCommunicationです。前者は自分を表現するための手段で、後者はスムーズな伝達のための道具です。医学論文も治験翻訳も、もちろん後者に属します。それがはっきりしていれば、わざと難しく書く必要もないし、格調高い文章を作る必要もないのは明白ですね。簡単でもいいから、誰が読んでも分かりやすい文章を書くこと。「それなら、ぜひやってみたい!」って思ったあなた、治験翻訳講座でお会いしましょう。

つーほんメール【第87号】2006年3月22日発行より転載