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治験翻訳演習担当講師
東京医科歯科大学非常勤講師
アルパ・リエゾン株式会社代表
有馬貫志
《第25回》 翻訳者の社会的な位置について(1)
2007年の治験翻訳講座、春学期の開講がすぐそこに迫っています。お蔭様で今回も多くの方からお問い合わせや、参加希望をいただきました。ご参加いただく皆さんにとって、また興味を持って見守って下さっているみなさんにとっても、意味のある集まりにしたいと思っています。
治験翻訳講座を立ち上げた目的のひとつに、とかく孤立しがちな翻訳者の横のつながりが生まれる場所を提供したいという願いがありました。幸い、これまで講座に参加してくださった受講生の方たちの間で、自然発生的なつながりが生まれてきているようです。受講生の方のバックグラウンドはさまざまで、それぞれ翻訳者であったり、CROの方だったり、あるいは製薬会社の方であったりと、治験翻訳を取り巻く環境のいろいろな組織から参加していただいているので、日ごろのお仕事関係とはまた違った新しい「話し相手」が生まれているようです。
治験翻訳の場合、必要とされる技術は、実務翻訳の他の領域と重なる一方で、医療や薬剤情報を扱うメディカルライティングや医療ジャーナリズムといった、メディカル・コミュニケーションの他の分野とも重なります。どちらも非常に専門的で高度な技術を必要とする分野であるという点では同じです。では、その高度な技術を必要とする仕事に対する対価はどうでしょうか?
実務翻訳の領域で、治験翻訳を他の分野と比較すると、報酬という点で有利であることが伺えます(「通訳翻訳ジャーナル」2006年10月号)。一方で、メディカルライティングや薬事情報に関するライティング業務との比較では、翻訳者への報酬ばかりが大幅に低いといわざるを得ません。翻訳業務はメディカルライティングや薬事関連のライティングに対してそれほど「簡単な」仕事なのでしょうか?そんなことはありませんね。しかし、報酬額に不服があるからと言って、一翻訳者が翻訳のレートを大幅に変化させることはなかなかできません。では、どうすればいのか?本年度の治験翻訳EXPRESS!はこうした報酬の問題をはじめ、翻訳者を取り巻くさまざまな問題を取り上げます。次回は翻訳者への不当な評価が生まれてくる原因を探ってみたいと思います。
つーほんメール【第112号】2007年4月5日発行より転載
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