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治験翻訳演習担当講師
東京医科歯科大学非常勤講師
アルパ・リエゾン株式会社代表

有馬貫志





《第21回》 医学情報の発信について
節分も過ぎて、後は春を待つばかり。とはいっても、今年の東京の冬は暖かですね。先日近くの畑(都内にも畑はたくさんあります!)で菜の花が咲いていました。治験翻訳講座は、基礎クラス・実践クラスとも後一回を残すのみです。コース開始当初は「10回もある長丁場、乗り切れるのかな?」なんて考えていた受講生の方も、皆さん「もう終わっちゃうの?」といった感じで、受講をしてみると、40時間のコースも決して十分な時間ではないことを実感されるようです。

来年は、治験翻訳にチャレンジしてみようか、とお考の方は、来る3月17日(土)に無料公開講座を開催しますので、ぜひ講座の様子をのぞきにきてください。

今年最初の治験翻訳EXPRESS!では、治験翻訳をメディカルコミュニケーションの一分野として位置づけているというお話をしました。今回は更に話を進めて、医学情報の発信という視点から考えてみましょう。翻訳はゼロから何かを作り出すのではなく、すでにある情報を他の言語に移し変える作業ですから、一般的には職人技的なイメージばかりが取りざたされますが、本当に翻訳をするためには、多くの「創造的」行為が必要だと言うことに気がつきます。「訳」という漢字には「translation」だけでなく「rendering」や「paraphrase」といった意味もありますから、本来「翻って新たに解釈する」意味も内包しているわけですね。

原文の書き手は、その言語の読み手に対する情報発信者ですが、翻訳されたテキストに関する情報発信の責任は、翻訳者にも等しく課されるわけで、そういう意味では翻訳作業も情報発信であるといえます。また、治験翻訳に限って言えば、一般に考えられている以上に、翻訳の技術の多くはメディカルライティングの技術と重なっています。医学の情報伝達であるメディカルコミュニケーションも、医学の情報発信も、共にひとつの情報や技術をより多くの人々と共有する、という意味で同根といえます。医学に関する情報や技術をシェアしていくこと、それがこれからの社会のひとつのキーテーマではないでしょうか。

つーほんメール【第108号】2007年2月5日発行より転載