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この連載は、メールマガジン「つーほんメール」のバックナンバーです。
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治験翻訳演習担当講師
東京医科歯科大学非常勤講師
アルパ・リエゾン株式会社代表

有馬貫志





《第20回》 添付文書を読んでみよう!
新薬の開発の過程には、大きく分けて3つあります。薬理効果の期待できそうな物質を見つけてその研究をする基礎研究、基礎研究で有望と判断された薬剤を実験動物を対象に用い、その有効性や安全性を検証する非臨床試験、そして安全性が確認された用量を用いて、患者さんを対象に更に試験を続ける臨床試験という3段階です。この3つ目の段階の臨床試験を治験と呼びますが、治験翻訳では、主にこの段階で発生する様々な文書を扱います。

治験翻訳の対象となる代表的な文書として、薬の解説書である治験薬概要書、治験実施のためのマニュアルである治験実施計画書(プロトコル)、治験の成績を詳細に記した治験総括報告書などがあります。従って治験翻訳の勉強のためには、こうした文書を前もって読んでおきたいのですが、新薬開発という性格上、これらのどれもが機密情報となる場合が多く、なかなか一般の読者には入手できない場合も多いのが実情です。

そこでお勧めしたいのが、すでに承認が済んでいる薬剤に関する総括的な情報を掲載している添付文書です。添付文書は「医薬品医療機器情報提供ホームページ」で誰でも閲覧可能です
(1)http://www.info.pmda.go.jp/ 。

ちょうど本日1月23日付けで、新しい医薬品の添付文書が更新されました。日本イーライリリー社の「アリムタ」という悪性胸膜中皮腫の治療薬です。上記(1)のWEBページから添付文書情報をクリックして検索ページを開き、アリムタと入れてみてください。添付文書がでましたね
(2)http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4229401D1020_1_01/

胸膜中皮腫については、アスベストの吸引によるがんの発現ということで、テレビでも大きく取り上げられました。アスベストを吸引してから病気が発現するまで20年以上(平均40年)という長い潜伏期があります。日本でアスベストが盛んに使われたのは1970年代ですから、これからも胸膜中皮腫の患者さんは増えるものと思います。アリムタとシスプラチンの併用療法という標準治療の確立によって、少しでもこの病気で苦しむ患者さんが減ることを願ってやみません。

つーほんメール【第107号】2007年1月23日発行より転載