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治験翻訳演習担当講師
東京医科歯科大学非常勤講師
アルパ・リエゾン株式会社代表
有馬貫志
《第15回》 治験翻訳者の適性
最近、受講生を含む何人かの方から、治験翻訳者の適性に関する質問を受けました。
よく聞かれるのは、治験の翻訳をするうえで、文型出身者と理系出身者ではどちらが有利なのかという質問です。翻訳者にはライターとしての資質が問われる、というのが僕の常日頃の考えですし、一方で、治験のシステムや薬学関係の専門的な知識は不可欠ですから、まあ当然の疑問なのかもしれませんね。
例えばこの秋の受講生の方のバックグラウンドを見てみると、実践クラスでは、治験に関わるお仕事をしていたり、医学薬学関係のバックグラウンドを持っていらっしゃる方は60%程度で、残り40%の方はいわゆる文型の方です。基礎クラスでは90%が医薬または治験業界の方です。不思議なことに基礎クラスにいわゆる業界関係の方が多いのは春も同じでした。で、この実践クラスと基礎クラスのメンバーの分布の違いを、僕なりに考えてみました。
実践クラスに文型出身の方が多いのは、すでに他の分野で翻訳のお仕事をしてらっしゃる方がいるからで、あとは英語の基準が高めに設定されていることも影響しているかもしれません。逆に基礎クラスに業界関係者の割合が圧倒的に多いのは、翻訳に関しては初心者でも、治験翻訳の必要性や需要の高さをよく理解していらっしゃるからだろうと思います。文型で治験に関する情報も少なく、また翻訳も初めてという方には、やはりちょっと敷居が高いのかもしれませんね。
さて、実践クラス受講生の方のバックグラウンドの分布は、ある程度実際に活躍していらっしゃる治験翻訳者の方の割合に似ているのではないかと思っています。では、どちらが有利なのか、という最初の質問に戻って考えて見ましょう。僕個人の正直な感想としては、どちらでも変わらないというものです。むしろ、ライターとしての資質や読む力、調べる力といった個人的な特性の違いのほうが大きな意味を持つのではないでしょうか。特に文型の方に申し上げたいのは、過去の履歴よりも治験翻訳に対する、今後の熱意と意思のほうがはるかに大事だということです。希望を持って頑張ってください。
つーほんメール【第102号】2006年11月7日発行より転載
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